日本的家制度
日本のイエ制度
-ジェンダーを超えて「人間」の視点から捉え直す-
国際文化学科 4年 浪岡 幸歩
はじめに
第一章 家制度の概要
第一節 家制度とは何か
第二節 家父長制とその歴史
第三節 直系家族制
第四節 一般的な家制度論
第二章 家の犠牲になる男性(長男)
第一節 戦後の家制度と長男
第二節「長男」と「長男の妻」
第三章 「人間」の視点からの家制度 ―男性も「家」の犠牲者―
第一節 アンケート調査の全体集計結果と分析
(1)アンケート調査の全体集計結果と分析―家制度全般―
(2)アンケート調査の全体集計結果と分析―具体例をあげて―
第二節 分類別集計の結果と分析
(1)親の労働形態別
(2)出身地域別
(3)祖父母との同別居別
(4)兄弟・姉妹構成別
おわりに
はじめに
家制度を論じるとき「家父長的な家制度により女性が家に閉じ込められ、女性は家の犠牲者であった」というように、女性目線から論じられることが非常に多い。しかし、男性も犠牲になっているのではないかという疑問を持つようになった。そう思うようになったわけは、私の知人の話を聞いたことによる。私の知人に実家が本家で、農業をしている男性がいる。彼は家を出て働いていたが、数年前に家を継ぐため仕事を辞め、「跡取り」として実家に戻ってきた。本来家を継ぐはずだった彼の父親が亡くなったことで、息子である
彼が呼び戻されたのである。(2人兄弟で、呼び戻されたのは長男のほうである)
家を継ぐ、家業を継ぐといった場合その対象は男性、特に長男の場合が多い。それは、戦前までの家制度によるものであるとされる。家父長的要素が強かった日本の家制度下では、財産を継承するのは長男であり、家族の中でも男性の地位は高く、女性はそれに服従するのが当たり前であった。女性には財産を継承する権限はなく、生活においても家事や子どもの面倒を見るのが仕事で、外へ出ることは許されず、「家制度」は女性を縛り付けるものであった。しかし、戦後の民法改正により家制度は廃止された。女性は家から解放され、多少の差別はまだ残っているが社会に出て活躍するようになり、今後一層の活躍が期待される。一方男性はどうだろうか。「家制度」は廃止されたが、完全に人々の意識の中から消えたわけではない。前述したとおり、家を継ぐのは長男という意識がまだ残っているため、仕事を辞めて実家に戻り後を継がなくてはいけなかったり、老後の両親の面倒など、かつて男性にとって味方であった家制度が、今では男性をも縛り付けているように思う。この知人の話を聞き、個人を犠牲にしてまで守らなければいけない「家」とは何なのかと興味を持つようになった。この論文では「男性(特に長男)も家の犠牲になっている」というひとつの仮説立て、第一章で家制度の概要を、第二章では家制度と男性との関係を論じ、第三章ではアンケート調査の結果分析を行い、そして最後に、「男性(長男)も家制度の犠牲になっているのでは」という、自身の仮説が証明されるのかを、若者の目線で論じていきたい。
第一章 家制度の概要
第一節 家制度とは何か
家制度とは、明治民法に採用された家族制度であり、親族関係のある者のうち更に狭い範囲の者を、戸主と家族として一つの家に属させ、戸主に統率権限を与えていた制度である。家は戸主と家族から構成される。戸主は家の統率者であり、家族は家を構成するもののうち戸主でないものをいう。ひとつの家はひとつの戸籍に登録される。つまり、同じ家に属するか否かの証明はその家の戸籍に登録されている者であるかどうかにより行われた。戸主は家の統率者として身分を持つ者であり、戸籍上は筆頭に記載された。家の統率者として家族に対する扶養義務を負うほか、主に以下のような機能を有していた。これらは戸主権と呼ばれていた。
① 家族の入籍、去家に対する同意権
② 家族の婚姻、養子縁組に対する同意権とこれに伴う離籍権、復籍拒絶権
③ 養親死亡後、養子の離縁に対する同意権
④ 家族の居住指定権とこれに伴う離籍権
⑤ 家族の瑕疵のある結婚、養子縁組の取消権
⑥ 家族の禁治産、準禁治産の宣告、取消の請求
⑦ 家族の後見人、保証人となる権利義務
⑧ 親族会に関する権利
戸主の地位は、戸主の財産権とともに家督相続権(家父長制における家長権を意味
)という制度に継承される。家督相続人(新戸主)となる者は、旧戸主と同じ家に属するもの(家族)の中から男女・摘出子庶子・長幼の順で決められた上位の者、被相続人(旧戸主)により指定された者、旧戸主の父母や親族会により選定された者などの順で決めることになっていたが、通常は長男が家督相続人として戸主の地位を継承した。
明治民法下における日本の家制度は、江戸時代に発達した「家父長制」と、親は一人の子の家族とだけ同居することを原則とする「直系家族制」の二つが融合して日本の「家制度」を支えていた。これを坂西友秀の『ジェンダーと家文化』(1999年 社会論評社)によれば10の性質に分けることができる。
1.長男単独相続制
家の系譜や財産を長男が単独し、長男のみが親と同居するのだが、戦後は全ての子どもが均等に財産を相続することになった。しかし、農家や零細企業は分割相続すると業務の存続を不可能にするため、長男単独相続制は今も存続の条件を持っている。
2.家産、家業
家制度を支える物的基礎は先祖から伝承してきた家産や家業である。家族生活を支える場、生活資料を獲得する源泉が個人的力量によるものでなく、先祖伝来の家産などに依拠していることは、それだけ家制度を支えることになる。
3.嫁入り婚
家制度下では、妻は結婚すると夫の家族と同居し、三世代以上の直系家族を作る。直系家族の中に入り込んだ妻は、その家族の持つ生活様式に同化することが要求される。跡継ぎでない次男、三男のところへ嫁いだ場合は独立した家を作り分家となるが、この場合も三世代以上の直系家族を志望する。
4.配偶者の選択
配偶者の選択に関しては家の存続維持という条件が重要となるので、当事者の子どもより親が結婚における主導権を握ることが多い。
5.家父長権の問題
父親は家長としての権限と責任、家族の身分管理と統制を行う。
6.家の連続性
家制度は超世代的な観念的な家の連続性を強調する制度なため、連続性を否定する絶家ということは重大事である。家産、家業の継続以外にも老親の扶養、子どものいない家は養子をとり、女の子だけの場合は婿をとって家の連続性をはかっていく。
7.老親の扶養
家制度下では老親の扶養は長男の責任ということになっている。長男は財産を相続するだけでなく、親と同居して親の老後は長男夫婦が責任を持つ。この扶養義務は外国にはない日本独特の制度である。
8.夫婦関係
家制度は一度嫁に行った妻は多少のことは我慢し、婚家にとどまる忍従の生活を強いた。夫婦関係における妻の地位は低くかった。
9.家名
家制度が典型的に成立しているところでは、家と家は身分階層制に基づく家制度を保持している。
第二節 家父長制とその歴史
「家父長制」と「家父長的家」は、1988年の『社会学事典』を引用すると家父長制については「家父長権をもつ男子が家族員を統制・支配する家族形態である」と定義し、家父長的家については「家父長制家族では、一般的に長男が家産と家族員に対する統率権は絶対的な権威として表れ、家族員は人格的に恭順・服従する」と定義されている。
日本の家父長的家族制度は、日本中世の「惣領制」で、惣領家が庶子家に対する統制がその始まりで、近世になって幕府統制上の便利や儒教が武士階層へ徹底的な浸透で、近世の武士層で定着したと思われる。家父長制は中世から始まり、また近世には武士層で定着したが、家父長的家制度を制度化したのは近代の明治時代である。明治政府は戸籍制度を中心とした諸制度を通じて、家父長制を規定したのである。家父長は権力と地位的に絶対的な優位におり、外の家族員特に子どもたちに対しては絶対の統率権があった。家父長と家族員の諸関係は具体的に以下のようなものであった。
①親子の服従関係
家父長が家の代表であり、子どもは完全人格とは認められなかった。収入は家父長一人が握るため、子どもは成人して稼いでいたとしても家父長になるか家を離れていかない限り、自分の財布は持てないことになる。それにも関わらず、子どもたちは家父長に「考」を要求されていた。
②子どもたちとの関係
家父長的家制度では長男相続をとっているため、長男は家産の相続人として家の存続に欠かせない存在であるので、長男の地位は子どもたちの中では相対的に高かった。それに対して同じ男であっても、家の存続にあまり必要のない長男以下の子どもたちの地位は長男より格段に低かった。また、家の存続に必要とされない娘には結婚の際にお金を使うことから、家産維持の立場からは一番望ましくないのである。次三男を分家する時も家産の分与があるが、分家は冠婚葬祭時、本家の支えになることがあるので「分家時の財産の分与」は必要な損だと思われていた。しかし娘の結婚時の財産分与は他家への財産の投げ出しにしかならないため、娘が多く生まれることは望ましくないのである。家の存続に必要ないばかりか、結婚時に損を与える娘の地位は次三男より低く、差別される存在にあった。女性への差別も、家父長的家制度の特徴である。
第三節 直系家族制
直系家族とは、傍系の家族や親族に対する用語であり、この制度を直系と傍系に分ける原理を出発点とした家族形態のことである。親は一人の子の家族とだけ同居することを原則し(一般的に男子で、多くは長男)その子に家長権と家産を継承させ、その子に配偶者(多くは嫁)を迎えて二世代以上同居という形態をとる家族のことである。新しい家長が決まったことによって傍系となった兄弟姉妹は、未婚のまま実家に留まるか、結婚するには実家を出る必要があった。嫁や婿養子に行く以外で結婚するには、本家の家名を名乗らせてもらう分家という手続きは必要であった。直系家族制は、跡継ぎ(主に長男)の家族との同居を繰り返すことによって、何世代も直系的に家族が維持されていき、戦前の日本における「家制度」の典型である。
第四節 一般的な家制度論
一般的に、家制度を論じている文献は「家制度は女性を縛り付けるもの」とされ、以下のように「家」の犠牲者は女性だという論述がほとんどである。
・「家制度」は、家父長制と女性に対する抑圧を存続させる主要な制度である。『フェミニズム辞典』(明石書店)
・戦前の日本は男女不平等の世界で、女性に参政権は与えられず、教育すらまともに受けられず、ただ家にいて家のことだけをするのが女性であった。戦後、これらの性差別は廃止され、男女平等が高らかに謳われた。だが、権利が平等に与えられたからといって、事実として平等が実現しているのだろうか。『家族観の変遷』(片倉比佐子 吉川弘文館 2002年)
・現民法には女性に労働と忍従を強いるために女性を「無能力者」とした「家」制度の残滓が随所に見られる。民法自体が差別にまみれているが、民法があることによって女性差別が助長されている面も見逃すことはできない。
『女性解放の思想と行動』(田中寿美子 時事通信社 1975 年)
このように女性を中心として書かれているものばかりで、男性に関して論じられているものはほとんどない。また、女性を犠牲者だと論じているものの根拠は、すべて戦前の制度を根拠とするもので、今現在の「家」との関係について触れられてはいないのである。
第二章 戦後日本の家制度と男性
第一節 戦後の家制度と長男
第二次世界大戦後の新憲法の成立、民法や家族法の改正によって「家父長制」「直系家族制」の二本柱の家制度は崩壊していった。高度経済成長期に家制度の土壌である農村を中心とした第一産業は衰退し、それに伴い、家の次三男と娘たちを中心とした若者たちは仕事を求め都市へ流れていった。都市部の家族は生活の場と仕事の場が分離しているため、
家業相続や家産維持を目的とした二世帯は必要ないため核家族化が進行していった。また、戦前家の存続に必要ないとされていた農家の娘が都市へ出て行ったことで、家の存続のため農村に残した長男たちが「嫁難」に陥ることになったのである。
第一次産業の衰退で、拡大家族を形成する必要性が薄れたことで、直系家族制は崩壊しつつあるが、もう一方の家父長的家制度は未だ根強く残っている。長男が「家を継ぐ」ということ自体は薄れてきているが、長男に課せられる責任は他の兄弟と比べると多いのではないか。
長男は封建時代に成立した家父長制度により原則として長男は家系、家財の後継者と目されてきた。家制度が廃止されてから60年以上経つが、今日においてもその傾向は強く残っている。継ぐべき家系、家財、家業の有無に関わらず、社会通念や家庭内の習慣では事実上長男はおよそ祭祀を継承する位置づけが強く、家庭内の冠婚葬祭では親についで施主(喪主も含む)を勤める場合が多い。また、民法上は他の兄弟と平等になった今日においても、習慣的に長男は家と祭祀を継承し、さらに親と同居して老後の面倒を見る代わりに兄弟に財産相続を放棄させるという習慣も残っている場合が多い。『家族とジェンダー』(斉藤茂太 2003年)のデータによると、子どもと同居している親は34%,別居している親は42%と、別居のほうが若干多いが、親と同居しているのは長男(男子がいない場合は長女)が圧倒的に多く、子どもが50歳の場合、親と同居している長子の割合は94%,40歳でも94%,30歳では80%となっている。
この傾向は都市部より農村部に顕著に見られる。都市部と比較して町村部、自営業者に「家」意識が強く継承されている理由として一つに家や土地、墓、職業などが先祖から固定化され、移動や消失が困難であるということが挙げられる。また、近隣や血縁、良縁の人間関係が家を単位にして緊密に結ばれ、その人間関係を基盤に伝統的な習慣が維持されていること、家制度下では「家を継ぐこと」「先祖の供養」が何よりも優先され、家を継ぐ者には職業の選択は許されず、自分の家の職業を継ぎ、墓を守っていかなければならなかったことが、未だに親世代、若者世代双方の意識として残っていること等が挙げられる。日本の家族は伝統性と近代性の両方の特質を持っているといえるだろう。
ゆえに女性からの立場としては、後継者である長男の配偶者になることは、夫の家庭の財産を継承できる代わりに夫の両親と同居し、また老後の世話をするという場合もあり、何かと気苦労の多い立場となりやすいことから「長男の妻」と称して敬遠される例も見られる。
図1
民法改正で家制度が廃止されることを報じる
(1946年8月22日の読売新聞)
第二節 「長男」と「長男の妻」
図2は、読売新聞が2005年に行った「長男の妻」に関するアンケート調査の結果である。
図2 長男の妻は損か?に関するアンケート調査(2005年 読売新聞)
「長男の妻は得か損か」という問いに対しては「損」
が70%を占めた。長男を跡取りと位置づけて家業の敬称
や親の扶養などで特別な役割を負わせる「家制度」は今
でも残っているようだ。また、「長男やその妻は特別な役
割があるか」という問いに対しては役50%が「はい」と
答えた。「長男の妻」の悩みとして多くあげられていたの
は「盆暮れの接待」と「義父母の世話」「跡取り意識」で
ある。家の継承者は直系の男子というのは戦前の家制度
を支えるものだったが、現在もそれは残っているようだ。
2005年5月25日の読売新聞の「くらし家庭」の欄に長
男の妻の投稿が掲載された。そこでは「帰省のたびに同
居を迫ってくる」「
義理親の面倒を見て当然と思われる」
「損どころか、酷い立場だと思う」というように、実際「長男の妻」の苦労が書かれていた。
長男の妻の義務は「夫の父母の老後の面倒を見ること」だと考えている若い世代の意見もあり、それに耐えられないから絶対に長男とは結婚しないと思っている人もいる。
それとともに「娘を長男と結婚させたくない」という親世代の意見あった。法律上「家制度」はなくなり、長男が単独で相続することになっていた財産も現在では兄弟姉妹間で平等になった。それでも「家や墓を守るのは長男の役目」として長男は特別と思われている
ようだ。
以下は、自身が行った「自営業者との結婚について」のアンケート調査の結果である。この質問の回答者は宮城学院の学生を中心に様々な地域に住んでいる女性である。自分の恋人の親が開業医、個人商店経営、農家、会社経営者の子どもであった場合の結婚について4択で回答してもらった。
【回答者】
女性93名(10代:47名 20代:45名 30代:1名)
【質問内容】
あなたの恋人が以下のような自営業者に子どもであった場合、結婚についてどう考えますか。【とても結婚したい、結婚したい、結婚したくない、絶対に結婚したくない】でお答えください。
(1)実家が医者(開業医)の長男との結婚
(2)実家が医者(開業医)の次男との結婚
(3)実家が個人商店の長男との結婚
(4)実家が個人商店の次男との結婚
(5)実家が農家の長男との結婚
(6)実家が農家の次男との結婚
(7)親が会社経営者(社長)の長男との結婚
(8)親が会社経営者(社長)の次男との結婚
以下、集計結果をグラフ化し、それについて分析を加えた。
【図3】
親が開業医の場合、長男と次男では多少の差が出た。長男の場合、「とても結婚したい」と答えた人は15%だったが、次男では33%となっている。また、「結婚したくない」と答
えた人は長男では39%に対し、次男では25%と低い数値が出ており、「開業病院の子どもと結婚するなら長男より次男のほうがいい」という結果が出た。これは「長男は跡取り」という意識からのものではないかと思う。聞き取り調査を行った際に多かった回答が「長男は跡取りというイメージがあるから、結婚したら何かと大変そう」というものだった。それならば、あまり責任がないと思われる「次男」と結婚したいというということだろうか。
【図4】
会社経営者、すなわち企業の社長の子どもとの結婚に関しては、長男、次男ともに大きな差は出ていない。どちらも共通して「とても結婚したい」「結婚したい」合わせて約70%で、「結婚したくない」「絶対に結婚したくない」と答えた人は約30%で少なく、「長男」「次男」で目立った差はなく、どちらであっても結婚する際に問題にはならないようだ。
【図5】
こちらは実家が個人商店の場合の結果である。同じ「経営者」でも企業の経営者とでは随分と結果に違いが出た。「結婚したい」と回答した人は長男で30%、次男で37%とあまり差はないが、「とても結婚したい」では長男が7%、次男が14%という結果で、企業の社長とは異なる結果が出た。また、「結婚したくない」「絶対に結婚したくない」をあわせると、長男は62%、次男は49%という結果になり、長男のほうは「結婚したくない」と答えた人が半数以上になった。これも「長男は跡取り」という意識からのものだと考えられる。
そして、会社経営の場合、私生活と仕事の場は切り離されているが、個人商店の場合は生活の場と仕事の場が一緒になっていることが多く、プライバシーが確保しにくい。その点が違いとして現れたのではないかと考えられる。これは(1)の開業病院の場合と同じである。
【図6】
農家の場合は、長男と次男では多きく差が出た。長男と結婚したいと答えた女性は44%、結婚したくないと答えたのは56%で半数以上となった。次男の場合は結婚したいが合わせて56%、結婚したくないが43%で、長男とは結婚したくないけれど、次男ならば良いと答える人が多かった。やはりここでも「長男」は「跡継ぎ」という意識がこのように結果として表れたのではないか。更に「農家の子どもと結婚したくない」という回答が多い理由として、家業が「農業」という点も関係しているように思う。アンケートと同時に聞き取り調査を行った際に、20代の女性が「農家の長男と結婚したら、自分は相手の親と同居して、毎日農作業の手伝いをしなくてはいけなくなる。自分はそんなことはしたくない。その上、農村地域は近所付き合いが親密で、それは悪いことではないと思うけど自分のプライバシーがなくなりそうになるのが嫌だから農家の子どもとは結婚したくない」と言っていた。このような、農家独特の習慣が農家の長男と結婚するのを嫌がる大きな理由になっていると考えられる。
質問を「長女」「次女」に変えて男性にも同じ質問を行ったが「家業は関係ない」とする意見が多く、女性の場合と異なる結果が出た。男性は自営業の「長女」でも結婚に影響しないと思っているが、女性は長男か次男かということは大きな問題になっており、大変興味深い結果が得られた。
ここでは「自営業者の子どもとの結婚」のアンケートを通して「長男の妻」についてみてきた。どの自営業の結果を見ても「長男より次男と結婚したい」という結果となった。やはり女性の意識の中には長男は「特別」という意識があり、その「特別な長男」と結婚し、妻となった女性は長男とともにさまざまな苦労や犠牲をはらわなくてはいけなくなると思っている女性が多いことが伺える。それゆえに、長男との結婚は出来れば避けたいと
思っているのであろう。これならば農村だけでなく、自営業の長男も「嫁難」になってしまう。そのため、特に農村部ではこれが顕著で自治体で「嫁探しパーティー」を行ったり、外国人妻の迎い入れを行うなどして、後継者を確保している。長男であるがゆえに結婚が難しくなるというわけである。「長男」と「長男の妻」はやはり「家制度」の犠牲になっていると言える。
第三章 「人間」の視点からの家制度 -男性も「家」の犠牲者―
第一節 アンケート調査の全体集計の結果と分析
今まで述べてきたように、戦前まで男性は「家制度」の下で財産、家業を継承し、親の扶養を行ってきた。それらは過去においては家制度の恩恵ではあったが、民法が改正され法的根拠を失った。それにも関わらず、人々の意識の中に「家制度」は残り続け、現在それらは男性の重荷にしかなっていないのではないか、というのが私の仮説である。 本章では、本当に男性(長男)も家制度の犠牲になっているのかを調べるために宮城学院の学生を中心として様々な地域の住んでいる男女102名に協力してもらい、アンケートや聞き取り調査を行った。この結果を元に、本章では家制度を人間の視点、特に男性に視点を当てアンケートの分析をしていきたいと思う。
(1)アンケート調査の全体集計結果と分析 ―家制度全般― 【回答者】
男性:9名 女性:93名 計:102名 【年代】
10代:47名 20代:54名 30代:1名
男女で差があるが、これは女性が男性に対してどのような家的な考えを期待しているのかを知ることができると思う。男性を「家」の犠牲にしているのは、女性が「家」的なものを押し付けていることが原因の一つであるかもしれないので、若者の、そして女性の家意識を調べることはとても意味のあることである。
アンケート調査を全体集計した後に、それらを①職業別 ②出身地域別 ③祖父母との同別居別 ④兄弟・姉妹構成別に分けて分析を行い、それぞれに違いがあるかどうかを検証していきたいと思う。
質問内容は以下の通りである。
≪設問1≫
【基本質問と回答】 (1)性別と年齢
(2)出身地 (3)兄弟構成 (4)親の職業
会社員:51% 公務員:15% 自営業:8% 看護士:8% 行員:3人 無回答:9% 無職:2% その他:4%(薬剤師・大学教授・医者)
(5)実家では祖父母と同居していますか。
(6)家業や家の継承など、自分の「家」の継承、存続について少しでも考えたことがありますか。
(7)親の老後について考えたことがありますか。
(8)結婚後の親との同別居について、考えたことがありますか。 以下は(5)~(8)の結果をグラフ化したものである。 【図7】
祖父母と同居している人は全体の49%,同居していない人は51%で、どちらも同じくらいの比率であった。近年、同居率は低下していると言われているが、半数近くの家庭が祖父母と同居していることが興味深い。祖父母と同居している家庭は近年では少ないと言われているが、約半数の家庭が祖父母と同居していることに注目したい。これは調査地が東北地方中心だからではないだろうか。祖父母との同居率は都市部より地方のほうが高くなるためこのような結果となったと考えられる。
(6)(7)(8)ではアンケートを行うにあたり、現在「家」についてどれだけの意識、
関心があるのかを調べるための質問である。アンケート対象者は10代~30代の若者が中心だったため「家」に関してあまり意識したことがないと思っていたが、少なからず「家」について考えたことがある人が多かった。
【1.男性・長子に関する質問】
(1-1)長男は兄弟の中で1番発言力がある。 (1-2)長男は他の兄弟より何かと責任が多いと思う。
(1-3)次男、次女以下の兄弟は、長男・長女より比較的自由だ。 (1-4)家庭内で権力があるのは父親である。
(1-5)男性のほうが女性より社会的に大変な立場になることが多い。
【2.家業に関する質問】
(2-1)親の家業(開業病院・農家・個人商店・中小企業経営など)は絶やさないほう
がいい。
(2-2)先祖代々からの家業であっても、継承者自身に他にやりたいことがあれば継ぐ
ことを放棄し、家業を絶やしてもいい。
(2-3)家が自営業だと、子どもの職業選択が制限されるのは仕方ない。
【3.親に関する質問】
(3-1)子どもは親孝行すべきだ。
(3-2)自分の親なのだから、老後の面倒は子どもが見るのが当然だ。
(3-3)親の介護をするために仕事を辞める人もいるが、親のために子どもが犠牲にな
るべきではない。
【4.結婚と老後に関する質問】
(4-1)現在の民法では、結婚したら夫婦どちらかの姓を名乗ればいいのですが、姓を
変えるのは女性のほうがいい。
(4-2)結婚したら、結婚相手の親とは同居したくない。 (4-3)結婚したら、自分の親とは同居したくない。
(4-4)自分が年老いたときは、自分の子どもに面倒をみてもらいたい。
これらを、A:かなりそう思う B:そう思う C:どちらともいえない D:そう思わない E:全くそう思わない、の5択で回答してもらった。
以下が、集計結果と分析である。
【1.男性・長子に関する質問 】 【図8】
男性、特に長男についての質問の結果だが、興味深い結果が出た。まず(1-1) 長男は兄弟の中で1番発言力がある、という質問で、Aと答えた人は6%、Bと答えた人は15%で合わせて21%だったが、D,Eと答えた人は合わせて43%で約2倍となっており、「長男」だからといって、家庭内で特別発言力はないようだ。
しかし(1-2)の質問ではAが28%、Bが44%で合わせて72%の人は「長男は責任が多い」と思っていることが分かった。そして(1-3)はA,B合わせて57%で、半数の人が「長男・長女以外は比較的自由」と思っている。
これら3つの質問の結果をまとめると、「長男は家庭内での発言力はないが、責任はあり、他の兄弟より多少自由が制限される存在」と思っている人が多いことが分かった。 次に(1-4)(1-5)の結果を見ていきたい。(1-4)の質問ではA,Bで53%に対し、C,Dはわずか14%で、半数の人が「男性のほうが大変」と思っていることが分かった。また、男性でDまたはEと答えた人は2
人しかおらず、残りはAまたはBという結果が出た。この結果を踏まえ、(1-3)の結果を考えてみると、長女も長男も同じ長子で
はあるが、男性である「長男」は何かと責任のある人と認識されているようだ。これは戦前の「家父長制」の名残であると思われる。しかし、C「どちらともいえない」の比率が多いことにも注目したい。これは女性の社会進出の現われではないか。女性も社会で活躍するようになり、男性と同じように責任を負う立場になってきたという意識がこのような結果になったのだと思われる。
そして(1-5)についてだが、56%の人が「父親は権力がある」と答えている。(1-1)(1-2)(1-3)の結果からだと、父親候補の「長男」は家庭内では他の兄弟と変わらない立場であるとしているが、結婚し、家庭を持ち「父親」となると立場は大きく変わるようだ。男女は平等となったが、それでも子供の保護者欄には父親の名前を書くのが一般的で、そうする母親の意識を見ると父親を一家の長を意識しているように思える。「家制度」はなくなったと認識していても、意識の中でそれは息づいているのだ。そう考えれば(1-3)の「男性は大変」というのもうなずける。
【2.家業に関する質問】 【図9】
ここでは家業に関する質問の結果を見て いく。(2-1)親の家業は絶やさないほうがいい、という質問の結果はAが18%,
Bが26%,Cが42%,Dが11%,Eが3%となり、「どちらともいえない」とする回答が多かった。同時に行った聞き取りの中で多かった意見が「その時にならないと分
からない」というものだった。しかし、AまたはBと答えた人が14%と少ないことを考えると「その時にならないと分からないが、基本的には絶やさないほうがいい」と思っている人が多いのではないだろうか。
また、A,Bと答えた人だけに対して「一般的に継ぐべき人として適当なのは誰だと思
いますか」という質問をした結果「長男」69%「長女」5%「その他」26%という結果となり、長男・長女以下の兄弟は0%であった。家業を継承する者は長男という考えは「家制度」からきており、この結果もその名残であると考えられる。しかし、「その他」の中には「継ぎたい人が継ぐ」「誰でもいい」という長男にこだわらない意見もあった。 (2-1)では前述のような結果が出たが、これに対し(2-2)で「先祖代々からの家業であっても継承者自身に他にやりたいことがあれば継ぐことを放棄し、家業を絶やしてもいいか」という質問をしたところ、「絶やしてもいい」とするA,Bと答えた人は54%「絶やしてはいけない」とするD,Eと答えた人は11%という結果が出た。ここでも(2-1)と同様にCと答えた人が35%と高い割合になり、Cの意味するものは(2-1)と同じだと考え、(2-3)のCも同様であろう。
(2-3)では自営業者の子どもの職業選択について質問した結果、A,Bはわずか17%だったのに対してD,Eは51%と大きく差が出た。
これら3つの質問の結果をまとめて見てみると、矛盾が生じているような気がする。(2-1)では「その時にならないと分からないが、家業は継ぐべきだ」という結果が出たが、(2-2)では「継承者次第で家業は絶やしてもいい」という結果になり、(2-3)では「家が自営業でも、子どもの職業選択は制限されない」つまり「家業を継がなくてもいい」とする意見が多かった。これでは、誰が家業を継承していけばいいのだろうか。
【3.親に関する質問】 【図10】 (3-1)の「子どもが親孝行をすべきか」と質問はAが64%,Bが34%という結果になり、親孝行を肯定する意見がほとんどだった。そして、AまたはBと答えた人にだけ①なぜ親孝行をすべきと思うのか。②自分の考える親孝行とはどんなものか。という質問した。家制度下では親は子からの孝行の対象となる
者であり戦前の親孝行は半ば強制的なものであったが、①の回答で圧倒的に多かったの は「自分をここまで育ててくれたことに感謝しているから」という、自発的なものが大多数であった。②の回答は人によって様々であったが「自分が幸せに生きていくこと」「一緒に旅行に行く」「金銭的な援助(仕送り)」などが多かった。家制度下での親孝行は、「親の老後の面倒」「家産、姓の継承」が1番重要なものであったが、「老後の世話」と答えた人は12人だけであり、戦前の「押し付け孝行」は姿を消しつつあるということが分かった。 (3-2)(3-3)の質問では興味深い回答が得られた。(3-1)の②では回答が少なかった「親の老後の面倒」についてだが、ここではA,B合わせて71%の人が「老後の親の面倒は子どもが見るのが当たり前だ」と答えている。老親の世話は「親孝行」ではなく、当たり前のことだと認識しているのだろうか。それか、まだ自分も若くて親も元気だから意識していないことから、このような結果になったのか。
更にここでもAまたはBと答えた人にだけに「一般的に、面倒を見るのに適当なのは誰だと思いますか」という質問をしたところ「長男」41%「長女」16%「次男」1%「次女」1%「その他の兄弟」1%、その他40%という結果が出た。女性だけでなく、男性であっても「長男」と答える人が多かったのも興味深い。
(3-3)で71%の人が「親の面倒は子どもが見るべき」と答えたが、(3-4)ではAが12%,Bが28%,合わせて40%の人が「仕事を辞めてまで介護をすべきではない」と答えている。面倒を見るとは言っても、それには程度があるようだ。ただ、Cが45%ということに注目すると、おそらく「その時にならないと分からない」ということだと思われる。アンケートの回答者は10代、20代が多いため、まだ先のことだからとあまり深く考えていないのだろう。
【4.結婚と老後に関する質問】 【図11】
(4-1)はAまたはBと回答した人は全体の23%,C:47%,DまたはEは30%という結果となった。なお、男性はBと回答した人が多く、Eと答えた男性は一人もいなかった。現在の日本の民法では夫婦別姓は認められておらず、夫婦どちらかの姓を名乗ればいいのだが、実際98%は男性の姓を名乗っているのである。「家制度」下での結婚は「嫁入り婚」で、女性は男性の家に入るというものだったため、それが今でも残っていることの現われではないか。そして、それは男性のほうにより強く残っている。Cが1番多い理由は、女性が絶対姓を変える必要はないと思っているが、そのような男性の意識から女性が変えざるを得ない現状を表しているのかもしれない。
(4-2)(4-3)結婚後の親との同居についてだが、あまり大きな特徴は見られなかったが、相手の親との同居は避けたいが、自分の親との同居は良いとする結果となったが、
「どちらともいえない」の回答が多い点に注目すると、「まだ分からない」というのが正直なところではないだろうか。また、【3.親に関する質問】の回答を見ていると親を大事にする回答が目立つので、「親が心配だから」や「同居してほしいと言われたら」という意味の「C」であるとも考えられる。
(4-4)では自分の老後について尋ねた。AまたはBと答えた人は33%,Cは38%,DまたはEと答えた人は29%となった。Cが多いのは、「まだ分からない」ということだろう。
(2)アンケート調査の全体集計結果と分析―具体例をあげて―
上記の質問は、若者の間に「家意識」がどれほど残っているのかを調査するために行った。ここでは「家制度」と男性(長男)の関係を調べるため、具体例を6つ提示し、質問に答えてもらった。
以下が質問内容と回答結果である。
≪設問2≫
【事例1】 3人兄弟 A子30歳(長女) B男28歳(長男) C男24歳(次男)の父親がなくなった。兄弟に母親はいない。この場合葬式の喪主は誰が勤めるべきか。 長男は家庭内の冠婚葬祭では親についで施主(喪主など)を勤める場合が多い。これは「家制度」下における家父長制の名残である。この質問をすることで、どれだけ家父長制が人々の意識に根付いているのかを知ることができると思う。
この質問の結果であるが「長男」と答えた人は62%「長女」と答えた人は36%「その他」2%という結果が出た。長男が喪主を勤めなければいけないという決まりはないが、やはり喪主は男子というのが今でも一般的なのだろう。
【事例2】 2人兄弟D男、E男(ともに独立して生活)の父親が病気になり介護が必要な状態になった。母親も病気を患っており一人での介護は困難。母親は息子たちに父親の介護を手伝ってほしいと言っているが、この場合誰が面倒を見るべきか。(実家は地方の田舎。兄弟は実家と同じ県内に住んでおりともに結婚している) 「家制度」の中では老親の扶養は長男夫妻が責任を持つことになっていた。これは、老親の扶養についての意識がどれだけ残っているのか知るための質問である。
結果は「長男」48%「次男」2%「その他」27%その他の回答で1番多かったのが「2人で協力する」というもの。近年、介護は公的サービスを利用する人が増えてきているらしいが、ここで「介護施設に入れる」「介護専門の人に任せる」という人4%では意外と少なかった。アンケートの回答者は10代~20代の学生が中心なため、こういった意識が薄いことが理由だと思う。年齢層が変われば結果も異なってくると予想される。
【事例3】 実家が代々から続く開業医院である。親も医者として働いている。子供はG子(1番目・長女)H男(2番目・長男)の2人で親は病院を継いでもらいたいと思っているし、子供たちも医者を目指している。病院は誰が継ぐのが適当か。 「長男」は家業を継承する存在としても欠かせない存在であった。ここでは病院の跡継ぎについての質問を行った。
【図12】
この事例では長子は女性のG子である。しかし、回答をみると2番目で長男であるH男が継ぐのがいいとする回答が多かっ
た。たとえ年長者であっても、家業を継承するのは「男性」と思っている人は今でも多いようだ。
【事例4】
実家は地方の農村で親は兼業農家をしており、子供はI男(長男)、J男(次男)の2人。2人とも現在は農業とは関係ない仕事をしており、農業はお互いどちらかが継げばいいと思っており、自分が継ぐことは考えていない。このまま継承者がいなければ、家業も土地も絶えてしまうが、この場合どうすればいいか。 事例4の質問と意図は一緒であるが、ここでは家業を農業にして質問をした。 【図13】
事例4の質問と似ているが、上記は継ぐ意思がある場合で、ここでは継ぐ意思がない場合である。
(2-1)の回答で「家業は絶やさないほうがいい」という回答が多かったが、ここでも同じような結果が出た。たとえ継ぐ意思がなくても兄弟が継いだほうがいいという結果が出た。この場合だと長男が仕事を
辞めることになり、家業の「犠牲」となっ
てしまうが、それでも継承すべきということは、今でも家業は大事にするものだという意識が根付いているようだ。農業で半分以上の人が「継ぐべき」と答えたえているのだから、医者や商店ならもっとこの傾向が強くなるのではないか。また、「継ぐべき」と答えた人に「誰が継ぐのが適当か」と質問をしたところ「長男」54%「次男」17%「その他」29%という結果となり、ここでも「長男」と答えた人が多かった。
第二節 分類別集計の結果と分析
ここではアンケートのデータを4つの分類に分け、全体集計の結果と照らし合わせ、特
徴のあった結果を見ていきたいと思う。「家」的な考えは意識的なものであるため、細かく分類分けをし、分析を行うことで「家意識」がどのような環境のもとで根付いていくのかが分かると思う。
(1) 親の労働形態
ここではアンケートに協力してくれた102名の親の職業形態を「自営業」「共働き」「片親のみが働いている」(以下「片親」)この3つに分類分けをして結果を分析していきたいと思う。
まず、特徴が見られたのは「祖父母との同別居」であった。親が自営業者の場合、祖父母と同居している率は67%で、3つの分類の中で1番高かった。「共働き」の場合は40%,「片親のみ」の場合は43%なので、だいぶ差が出ている。自営業は代々から受け継がれる場合が多いため、同居率が高いのではないかと思う。
次は【1.男性・長子に関する質問】を見ていく。以下は(1-1)「長男は兄弟の中で1番発言力がある」という質問の結果である。 【図14】
共働き」の結果を見るとAまたはBと答えた人は0%,Cは46%,DまたはEは54%で、長男に発言力はないと思っている人が多かった。 「片親のみ」の結果はA,B:21%,C:30%,D,E:49%で、ここでも長男だからといって発言力はないと思っている人が多く、全体集計の結果と似たような結果となった。しかし「自営業者」の場合を見てみると、A,B:42%,
C:33%,D,E:25%と、異なる結果が出た。「そう思う」と答えた人は全体の42%と、3つの中で1番高くなった。自営業の家庭の中には「家意識」が意識的に残っていることを表しているのだろうか。
また「共働き」でA,Bの回答が少ない理由は、昔は父親が働き、母親は専業主婦とい
うのが一般的であったが、両親がともに働いて収入を得ていることで男女の差はないと思っていることが理由ではないだろうか。これは(1-4)「家庭内で権力があるのは父親である」という質問の答えにも現れている。AまたはBと答えた人は「共働き」では40%「片親」55%「自営業」92%となり、図14と似た傾向が見られた。「片親」が55%というのは、父親が仕事をして家計を支えていることがこのような結果になったのだと考えられる。ここでも自営業者でABが多い理由は(1-1)と同様、家的なものが残っていることからきているのだろう。
しかし(1-5)「男性のほうが女性より社会的に大変な立場になることが多い」の結果を見ると「片親」「自営業」でAまたはBと答えた人は40%程度であったのに対し「共働き」は60%と1番多かった。自分の家庭内では男女の差はないが、一般的に考えると男性のほうが大変と思える状況がまだ多いと思っているのだろうか。
ここからは(1-2)の結果を見ていく。以下はそのグラフである。 【図15】
長男には特別、発言力はないと思っている人が多かったが「責任はあると思うか」と質問したところ、全体的に「責任がある」という回答が
目立った。特に「共働き」ではA,B合わせて93%という結果になった。
(1-3)は3つとも全体集計と類似した結果で「長男・長女以下の兄弟は自由」と思っている人が多かった。
親の職業形態で1番特徴が見られたのは【2.家業に関する質問】である。「親の家業は絶やさないほうがいい」という質問の結果だが「共働き」ではA:40%,B:38%「片親」はA:6%,B:26%「自営業」はA,Bともに25%という結果で、「家業は継承すべき」と思っている人は親が共働きの人が多かった。
しかし「先祖代々からの家業であっても、継承者自身に他にやりたいことがあれば継ぐことを放棄し、家業を絶やしてもいい」という質問に対しては「共働き」A:7%,B:59%
「片親」A:19%,B:33% 「自営業」A:18%,B:55%となり、全体的に「絶やしてもいい」とする意見が多くなる結果となった。更に「自営業者」の回答がA,B合わせて73%と1番高かったことに注目したい。実家が自営業であるのに継がなくてもいいと思っている人が多いのである。
これを踏まえて、(2-3)「家が自営業だと、子どもの職業選択が制限される」という質問の結果を見ていきたい。以下は(2-3)の結果をグラフ化したものである。 【図16】
全体的に、自営業であれ、子どもの職業選択は自由だとする意見が圧倒的に多いが、3つを比較するとAまたはBと答えた率が
高かったのは「自営業」であった。しかし、DまたはEと答えた率が高かったのも「自営業」であった。
その他の回答には目立った特徴は見られず、全体集計と似た結果であった。
ここからは≪設問2≫の結果を見ていく。【事例1】の喪主に関する質問だが、全体的に「長男」という意見が多かったが「自営業者」が73%と1番多かった。
【事例2】親の介護に関しては「共働き」20%「片親」59%「自営業者」45%が「長男」と答え、「次男」は「共働き」で2%程度であり、他は0%だった。しかし、すべてに共通して「その他」と答えた人も多く、その中でも「協力しあって」という意見が多かった。 医者の跡取りをたずねた【事例3】も同様に長男を跡取りとすべきという回答が目立ったが、全体集計のように50%を超えたのは「片親」だけで「共働き」「自営業は」30%程度で「長女」と答えた人も30%前後と比較的多かった。また、【事例2】と同様「その他」回も多く「どちらでも構わない」という意見も目立った。
【事例4】では農家の跡取りについて質問した。以下はそのグラフである。
【図17】
兄弟のどちらにも継承する意思は薄いが、それでも「どちらかが継ぐべき」という回答が多かった。特に「自営業」「片親」では約50%と多かった。「共働き」は27%と低
目ではあるが「絶やす」と答えた人は0%だった点を見ると、継承の意思はありそうだ。また「共働き」には「その他」が73%と他の分類より多い。この中には「土地を誰かに譲る」「継ぐか絶やすかを、話し合って決める」という意見もあり、他と比べ柔
軟な考えが見られた。「継ぐべき」と答えた人に対し「誰が継ぐべきか」という質問をしたところ「共働き」ではやはりここでも「長男」という回答が半数以上で1番多かった。しかし【事例2】と同様「話し合って決める」「どちらでもいい」というその他の意見もあった。
これらの結果をまとめて見ると、共通しているのは「長男は責任がある」という点である。設問2の回答を見ると、家庭内のことは「長男」に任せる回答がとても目立っており「共働き」では特にその傾向が強かった。
親が自営業だと、その家業を子どもの誰かが継がなくてはいけないという思いを持ちつつ、それに縛られたくないという葛藤が現れているように思う。また、共働きの家庭の人に家業を継承する意思が強めに現れたのは、前述したように「共働き」という労働形態は「家制度」が法的根拠を失ってからのものであり、その家庭には「家」意識があまりなく、「家」が生活の障害になることがないからではないだろうか。そのため「家」に関することは実体験ではなく、他からの情報でしか知らないため「家」にこだわった回答が目立ったのではないか。逆に自営業者や片親のみ働いている場合の家庭には、共働きの場合より
「家意識」があるように見受けられる。それは「家」を知っているからこそ、それに縛られたくないという思いがアンケート調査の結果として表れたと考える。
(2) 出身地域別
ここではアンケート回答者の出身地を「都市」と「地方」にわけて分析を行っていく。 (1)親の労働形態と同様に特徴が見られたのが「祖父母との同別居」である。都市出身者では同居率が45%に対し、地方出身者の同居率は55%と若干ながら多い。これは一般的な「家制度論」に書かれていることと一致している。
このことが影響しているのか「結婚後の親との同別居について考えたことがありますか」という質問で「はい」と答えた人は都市出身者では58%だったが、地方出身者では77%と、大きく差が出た。やはり親が祖父母と同居していると、自分の結婚後の同別居についても自然と考えるのだろうか。
ここからは【1,男性・長子に関する質問】を見ていく。以下のグラフは(1-1)「長男は兄弟の中で1番発言力があるか」という質問に対する結果であるが、都市と地方では結果が異なった。 【図18】
第二章で論じたように、都市部より地方のほうが「家意識」は強く残っているため、長男に関する意識も地方のほうが強くなると思っていたが、AまたはBと答えた割合は「都市部」のほうが多かった。(1-2)(1-3)(1-4)の回答は全体回答と大きな差はなかったが(1-5)「男性のほうが女性より社会的に大変な立場になることが多い」の回答には双方に違いが見られた。「都市出身者」ではAまたはBと答えた人は42%,C:42%,DまたはE:16%に対し、「地方出身者」ではA,B:61%,C:31%,D,E:8%で どちらも男性のほうが大変だと思っているようだが、その傾向は地方のほうが強い。
次は【2.家業に関する質問】を見ていく。(2-1)(2-2)は目立った特長はなかった。(2-1)「誰が継ぐべきか」という質問も双方「長男」という回答が約60%と、家業を継承するのは長男という意見が半数以上であった。
図19は(2-3)「家が自営業だと子どもの職業選択が制限される」という質問の結果
をグラフにしたものである。 【図19】
どちらもDまたはEの割合が多く「制限されない」とする意見が多いのだが、「制限される」と思っている人を比較すると「都市出身者」で29%(A,B合わせて)に対して「地方出身者」ではわずか8%という結果が出た。「都市出身者」の29%という数字は前述した「自営業者」よりも多く「都市」のほうが、自営業者の子どもは職業選択が制限されると思っている人が多いようだ。
図20は【3.親に関する質問】(3-4)「親のために子どもが犠牲になるべきではない」の結果のグラフである。 【図20】
「都市出身者」の回答はA:11%,B:8%,C:49%,D:24%,E:8%「地方出身者」はA:0%,B:33%,C:49%,D:18%,E:0%となり、C「どちらともいえない」の回答がどちらも一緒で全体に占める割合が1番多かった。これは全体集計でも同様であったが、対象者がまだ若く「そのときにならないと分からない」と思っている人が多いことが理由だと考えられる。しかし、「犠牲になるべきではない」とする回答は「都市出身者」のほうが多かった。ここでも「家」的な意識は地方より都市に表われた。
最後に【4.結婚と老後に関する質問】を見ていく。これは(4-4)「自分が年老いた
ときは自分の子どもに面倒をみてもらいたい」という質問結果のグラフである。 【図21】
「面倒をみてもらいたい」とする回答は「都市出身者」では37%「地方出身者」では41%で、「みてほしくない」とするD,Eはどちらも10%前後という結果となった。Cが30%程度と多めであるが、これも「先のことはまだわからない」という意味ではないだろうか。これまで「家」的な考えは「都市出身者」に多く見られたが、ここでは異なる結果が出た。これは祖父母との同居率が高いことが回答に影響しているのではないかと考えられる。祖父母と同居する理由の多くは老後の世話であり、親がそのために同居しているのであれば、そういった意識は親から子へと続いていくのだろうか。
その他の質問に関する回答はどちらも類似しており、目立った特徴はなかった。
≪設問2≫の結果は(1)同様に双方「長男」回答が多かったが、細かい違いを見ていくと「地方出身者」も「長男」回答は多かったが「都市出身者」と比べて長男以外の回答が多かった。【事例2】で「都市出身者」で「次男」と答えた人は0%だったが「地方」では29%だった。【事例4】の農家の跡取りに関しても「都市」で「次男」回答は0%だったが「地方」では36%という結果が出た。
ここでは地域別にデータを分析してきたが、全体的に都市部のほうが「家」にこだわりのある回答が多かった。設問2の回答でもそれが表われている。「家制度」の中で、家業を継承できる権限は長男にしか与えられておらず、次男、ましてや長女が家業を継ぐことはほとんどなかったが、「家制度」の影響が強いと思われている「地方出身者」の回答には「長男」以外のものも見られた。実際、「家制度」は地方のほうにより強く残っているのだろうが、実際に「家制度」による犠牲を目の当たりにする機会が多いのか、家にこだわらない意見が多く「古い家意識はなくなってほしい」いう思いがこのような結果になったのだろうか。親の労働形態の結果と同じ、戦後の新しい家族形態の家庭のほうが無意識に「家」にこだわっているように思う。
(3) 祖父母との同別居別
ここでは回答者の家庭が祖父母と「同居しているか」「別居しているか」に分けて結果を見ていきたい。祖父母と同居している人は全体の49%,別居している人は51%である。(基本質問(5)のグラフ参照) 質問に対する結果を比較していく。「結婚後の親との同別居について考えたことがありますか」という質問の結果だが、同居している人で「ある」と答えた人は74%,同居していない人は61%で、同居している人のほうが結婚後の親との同別居について考えたことがある人が多かった。親が祖父母と同居しており、間近でその様子を見てきたことがこの結果に結びついたのではないかと思う。
【1.男性・長子に関する質問】については全体集計と同じ「家庭内での地位は高くないのに、責任は多い」という結果だった。【2.家業に関する質問】については
しかし【3.親に関する質問】【4.結婚と老後に関する質問】には特徴が見られた。(3-3)「自分の親なのだから、老後の面倒は子どもが見るのが当然だ」という質問の結果は 「同居」でAまたはBと答えた人は合わせて79%に対し、「別居」では62%であることも、祖父母と同居しているか否かに関連しているのではないだろうか。図22はそのグラフである。 【図22】
更にAまたはBと答えた人に「面倒見るのに適当なのは誰か」という質問をした結果、「同居」では「長男」38%「長女」7%「長男・長女以下の兄弟」3%「その他」41%で、「次男、次女」と答えた人は0%であった。これに対し「別居」は「長男」41%「長女」17%「次男」2%「次女」2%「それ以下の兄弟」2
%「その他」36%であった。双方、似たような結果で「長男」の割合が多い点も一致しており、全体集計の結果同様「長男」に老親の面倒を期待する人が多いことがわかった。しかし、同じくらい「その他」の回答も多いことに注目したい。その他の内容は「家族全員で見る」「誰と決め付けず、話し合って」という意見が双方共通して多かったことから、長男にすべてを任せるという考えはなくなりつつある。これは、すべての分類においても言えることである。
ただ「別居」の中には「嫁」という答えも見られたことにも注目したい。これは「同居」の中では見られなかった回答である。「家」的な考えだと、夫の親の面倒は同居している妻
が見るのが普通であった。祖父母と同居している人にこの回答が見られるのは理解できるが、別居している家庭にこのような意識があることは非常に興味深い。
図23は(4-4)「自分が年老いたときは、自分の子どもに面倒をみてもらいたい」という質問の結果のグラフである。 【図23】
「同居」ではA:28%,B:26%で合わせて54%「別居」ではA,B合わせて30%となり、祖父母と同居している家庭のほうが、老後の面倒は子どもに見てほしいと思っている人は多かった。
このように、同居形態に特徴が見られたため(4-2)「結婚したら、結婚相手の親とは同居したくない」(4-3)「結婚したら、自分の親と同居したくない」という質問結果も検証してみた。
(4-2)の結果は「同居」ではA,B:50%,C:29%,D,E:21%「別居」A,
B:61%,C:26%,D,E:13%で、双方とも「同居したくない」という結果となったが、若干「別居」のほうが同居には否定的であったのは、同居形態が関係しているのかもしれない。
(4-3)「結婚したら、自分の親とは同居したくない」という質問の回答は「同居」A,B:33%,C:33%,D,E:34%「別居」ではA,B:40%,C:29%,D,E:31%であった。特に特徴は見られず、自分の親との同居は祖父母との同居には関係ないようだ。
≪設問2≫の回答はどちらも同じような結果で、ここでも喪主、親の老後の面倒、家業の継承も「長男がすべき」という回答が多く見られた。
ここでは祖父母との同別居別にアンケート調査の結果を分析してきたが、祖父母と同居している人に、やや「家意識」があるようだ。そして、それは特に親との同居関係に多く見られた。しかし(3-3)の結果についてはこれと異なるものとなった。これは「親の労働形態」「出身地域」の傾向と同じで、「家」を知らない者のほうが「家」にこだわる傾
向があるようだ。
(4)兄弟・姉妹構成別
ここでは、データを兄弟・姉妹構成別に分けて分析を行ったが、設問1、設問2どちらも数値的には全体集計とほぼ変わらない結果となり、分類同士でもあまり目立った結果は得らなかった。ただ、いくつか興味深い点があった。①兄弟の数が増えるほど、祖父母との同居率が高かった。②兄弟が3人以上の家庭に自営業が多かった。③自分が「長男」「長女」であっても「発言力は特にない」としながらも「長男は責任がある」という回答が目立ち、家業の継承、老後の面倒においてもその役割は「長男」と思っている人が多かった。③は、これまで見てきたものと同様の結果が出た。①、②の理由については今回の調査では分からなかった。
おわりに
本稿は「家制度」の犠牲になっているのは女性だけでなく、男性も犠牲になっているのではないかという視点で見てきたわけであるが、アンケートの結果を全体的に見ると、若者の間でも「家意識」は根付いていた。しかし「家」的な考えでも、なくなりつつあるもの、残っているものがあった。家業の継承について、以前は家業は絶やさず永続させていくものとされていたが、今はそうではない。継いだほうが望ましいが、個人の自由を制限してまでするべきことではないという考えが主流だ。また親孝行も、義務的ではなくなっている。しかし今も昔も変わらず「長男」の役割と責任は残っている。時代は変わり、戦前「家制度」に縛られていた女性は社会へ進出し、自由に生きる力を身につけて「家」から開放されつつある。しかし男性、とりわけ長男は親の老後、家業の継承、家庭内の冠婚葬祭の施主など、そういった古い習慣はいまだに健在である。4分類別にアンケート分析を行ってもそれは共通しており、男性も「家」の犠牲になっていることが分かった。 この論文を執筆するにあたり、当初「家意識」は地方の農村部や自営業者、祖父母と同居している家庭により強く「家意識」があると思っていたが、アンケート調査を行ってみると、そのような意識は「家」とは関係なさそうに見える都市部や祖父母と別居している家庭に多くみられることが分かった。実際、地方などには「家意識」が残っているのだと思うが、その環境にいる人々は「家」がどれほど個人に影響を与えるものか知っており、そこから抜け出したい、「家意識」を変えたいという思いが強いのではないだろうか。逆に都市部など、「家」と離れた生活をしている人は本当の「家」を知らない。分からないゆえに「家意識」の強い回答が多かったのだろうと考えられる。
また、今回アンケート調査に協力してくれた人の多くは女性だったため、女性が考える「家制度」が中心となったが、女性が男性に対して「家」的な役割を期待していることも分かった。一方、自分が長男であっても、家業の継承や老親の面倒などは「長男がすべき」という回答が目立ったように、男性自身もそれを自覚しているようだ。戦後、財産は兄弟
で均等に相続することになったが、意識的には兄弟は家産の維持、管理、老後の親の面倒は長男がするものと思っており、長男自身も自分が引き受けざるを得ないという責任感を知らず知らずのうちに背負ってしまっている。そして長男に責任がある限り、その長男と結婚する女性も長男の役割、責任を背負わなくてはいけなくなってしまう。
実際の「犠牲」を知らない者が、知っている者に対して抱いている「家意識」これこそが「長男」を「家」の犠牲にしているのではないだろうか。
若者の家意識はたくさんの矛盾があった。しかし、その中でも長男に対する役割の期待は一貫していた。以上のことを踏まえると、「男性(特に長男)も家制度の犠牲になっている」という自分の仮説は成り立ったのではないだろうか。
今回の調査は若者、更に女性が中心のもであったが、年代の幅や性別が変われば異なった回答が得られるように思うが、これは今後の課題とする。
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