中国改正食品安全法の概要
中国改正食品安全法の概要
2015年8月
日本貿易振興機構(ジェトロ)
北京事務所
農林水産・食品課
使用ください。ジェトロでは、できるだけ正確な情報の提供を心掛けておりますが、本報告書で提供した内容に関連して、ご利用される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、ジェトロ及び執筆者(しっぴつしゃ)は一切(いっさい)の責任を負いかねますので、ご了承ください。
内容
1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2 本法のポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
3 主要な改正内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(1)「第4章 食品の生産・取扱」に関する改正・・・・・・・・・・・・5
(2)「第6章 食品の輸出入」に関する改正・・・・・・・・・・・・・・8
(3)「第9章 法の責任」に関する改正・・・・・・・・・・・・・・・・9
4 日系企業が留意すべき点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
1 はじめに
乳幼児用粉ミルク、品質保証期限切れ肉、高濃度農薬野菜・果物等、中国では食品の安全を揺るがす報道が少なくない。その中で、中国政府は、2015年3月に「安全ではない食品」のリコール方法等についての詳細を規定した「食品リコール管理弁法」を公布しているが、いよいよ食品安全に関する基本法といえる食品安全法(以下、改正後の食品安全方を「本法」といい、改正前の食品安全法を「旧法」という)の改正を行った。2009年に旧法が公布されて以降、初めての改正である。改正までには、2013年から2015年の間に3度のパブリック・コメントの募集(ぼしゅう)が行われ、また条文数が104条文から154条文に増加するなど、その改正内容は大掛かりなものとなっている。
本法は2015年4月24日、第12回全国人民代表大会常務委員会第14回会議において可決、公布され、同年10月1日より施行される。そこで、本報告書では、本法のポイント、主要な改正内容を紹介した上で、最後に日系企業が留意すべき点に言及する。
2 本法のポイント
本法は、食品の安全性を保証し、公衆の身体の健康と生命の安全を保障することを目的として制定された法律である(本法第1条)。食品安全にかかる他の法律としては、「農産物品質安全法」、「輸入出商品検査法」等も存在するが、本法はその名称からも伺えるとおり、食品安全管理体系における中核を担っているといえる。実際に、本法を根拠法として、「食品安全法実施条例」、「食品安全サンプル抜取検査管理弁法」、及び「北京市食品安全事例」等の食品安全に関する各行政法規、部門規則、地方法規が数多く制定されている。また、本法に基づき「食品添加物使用基準」(GB2760-2014)等の各国家基準も制定されており、
本法は中国の食品安全管理体系における中核にして、基本法と位置付けることが可能である。
また、本法は、国及び地方政府等の行政機構の職責、職員業協会などの各種協会の責任に加え、食品の生産業者、取扱業者、国外の輸出業者等の事業者の責任をも規定しており、中国において食品事業を展開する、または中国向けに食品を輸出する事業者は本法に基づく責任を負う必要がある。
本法には、総則(第1章)、食品安全リスクモニタリングとリスク評価(第2章)、食品安全基準(第3章)、食品の生産・取扱(第4章)、食品検査(第5章)、食品の輸出入(第6章)、食品の安全事故の処置(第7章)、監督管理(第8章)、法律責任(第9章)、附則(第10章)の内容が含まれるが、このうち、事業者の責任と特に関連が深いのが、食品の生産・取扱(第4章)、食品の輸出入(第6章)および法律責任(第9章)である。このため、後記3ではこれらの条項に関する主要な改正内容を中心に紹介する。
なお、本法の適用範囲は、中国国内で従事する以下の活動とされている(本法第2条)ため、中国国内でこれらの活動に従事する場合には本法を遵守する必要がある。
【本法の適用範囲】
①食品の生産と加工(以下「食品生産」という)、食品の販売と飲食サービス(以下「食品取扱」という)
②食品添加物の生産・取扱
③食品に用いる包装資材、容器、洗浄剤及び食品の生産・取扱に用いる器具、設備(以下「食品関連製品」という)の生産・取扱
④食品の生産・取扱者による食品添加物、食品関連製品の使用
⑤食品の貯蔵と運送
⑥食品、食品添加物及び食品関連製品に対する安全管理
3 主要な改正内容
(1)「第4章 食品の生産・取扱」に関する改正
ア 許可取得部門の変更(本法第35条)
従前、「食品生産」、「食品流通」、「飲食サービス」については、それぞれ異なる部門による管理がなされていたため、それらに従事するためには各管理部門における許可を取得する必要があった。しかし、本法では、これらの管理部門が国務院食品薬品監督管理部門に統一された(本法第5条第2項)ため、食品の生産・取扱に関する許可も一括して同部門から取得すべきこととなった。
イ 食品の生産・取扱者が確立すべきシステム・制度の強化(本法第42条、第44条、
第47条)
食品の生産・取扱者については、従前より、①食品の安全管理制度及び②従業員の健康管理制度の確立が求められていたところ、本法では、さらに③トレーサビリティシステム、及び④自主検査制度の確立を義務付けている。
また、①については、従前より求められている食品安全管理者の設置に加え、食品薬品監督管理部門が食品安全管理者を無作為抽出して試験を行い、その結果を公表することが新たに規定され、③については、食品安全のトレーサビリティシステムを確立し、食品についてのトレーサビリティを保証しなければならないこと、④については、自主検査制度を確立し、食品安全の状況について定期的に検査評価を行わなければならないこと、生産・取扱条件に変化が生じ、食品安全上の要求に合致しなくなった場合、食品の生産・取扱者は直ちに改善措置を講じなければならず、食品安全に関わる事故が発生する潜在的リスク
がある場合、直ちに食品の生産・取扱を停止し、かつ所在地の県級の人民政府の食品薬品監督管理部門に報告しなければならないことが規定されている。
ウ 食品の生産者に求められる管理の追加(本法第46条)
食品の生産者は、生産する食品が食品安全基準に合致することを保証するため、①原材料購入、原材料検収、原材料投入等における「原材料」、②生産工程、設備、貯蔵、包装等の「重要な生産段階」、③原材料検査、半製品検査、完成品の出荷検査等の「検査」、④「輸送及び納品」を管理する上での要求を制定、実施する必要があることが新たに規定されている。
エ 飲食サービス提供者に求められる管理などの追加(本法第55条、第56条)
飲食サービス提供者について、①原材料の調達管理をする上での要求を制定、実施し、食品安全基準に合致しない食品原材料を購入してはならないこと、②加工の過程において加工予定の食品及び原材料を検査し、腐敗に夜変質などの本法第34条第6号に該当する状況が発生しているものについて加工または使用してはならないこと、③食品加工、貯蔵、陳列等の施設・設備のメンテナンス並びに保温設備及び冷蔵・冷凍施設の洗浄、点検を定期的に行うこと、④要求事項に基づき食器、飲用容器の洗浄消毒を行い、洗浄消毒を行っていない食器、飲用容器は使用せず、また食器、飲用食器の洗浄所毒を委託する場合には、本法が規定する条件を満たす食器・飲用容器の集中消毒サービス事業者に委託しなければならないことが新たに規定されている。
オ インターネット食品取引の第三者プラットフォーム提供者の義務の追加(本法第62条)
従前より集中取引市場の主催者等については、同市場に入場する食品取扱者に対する検査義務等が規定されている(本法第61条)が、本法は昨今のインターネット上での食品取引の実態を踏まえ、インターネット食品取引の第三者プラットフォーム提供者の義務についても新設している。具体的には、インターネット食品取引の第三者プラットフォーム提供者について、①インターネットにアクセスする食品販売者に対して実名による登録を実施し、商品安全管理責任者を明確にすること、②法に依り食品生産・販売許可証を取得しなければならない場合は、その許可証を審査しなければならないこと、③食品販売者が本法に違反する行為を発見した場合、直ちにやめさせ、速やかに所在地の県級以上の人民政府食品薬品監督管理部門に報告しなければならないこと、④重大な違法行為を発見した場合には速やかにインターネット取引のプラットフォームサービスを停止しなければならないことが新たに規定された。
ヵ 食品リコール制度の改正(本法第63条)
食品リコール制度に関し、従前の内容に加えて、①食品生産者は、ラベル、表示または説明書が食品安全基準に合致しないことに起因してリコールした食品について、改善措置を講じかつ食品の安全性を保証できることを前提に販売を継続できること(但し、販売にあたっては講じた改善措置を消費者に明示する)、②食品生産者は、リコールした食品について無害化処理、廃棄を行う必要がある場合、その時間、場所を事前に所在地の県級人民政府の食品薬品監督管理部門に報告しなければならないことが新たに規定された。 キ 遺伝子組み換え食品に関する明示の追加(本法第69条)
遺伝子組み換え食品を生産し、取り扱う場合には、規定に従い明確に表示しなければならないことが新たに規定された。
ク 特殊食品に関する厳格な管理の追加(本法第74条~第83条)
本法は、保健食品、特殊食品に対して厳格な監督管理を実行する旨および各食品に対する具体的な規制内容を規定している。
このうち、保健食品については、①同食品が保健機能を標榜する場合、科学的根拠を具備しなければならず、人体に急性、亜急性または慢性の危害を及ぼしてはならないこと、②保健食品原材料のリストおよび保健食品に着き標榜することが認められる保健機能のリストは、国務院の食品薬品監督管理部門によって、国務院の衛生行政部門、国家中医薬管理部門と共に制定、調整しかつ公表されること、③保健食品原材料のリストには原材料の名称、用量および対応効能を含まなければならず、同リストに列記する原材料は、保健食品の生産にのみ使用することができ、その他の食品の生産に使用してはならないこと、④輸入した保健食品は、輸出国(地域)の主管部門が市場では販売商品として許可したもので無ければならないこと、⑤保健食品のラベル、説明書、広告において当該製品を医薬品の代わりにすることはできないことを明示しなければならないこと、⑥広告の内容について所在地の人民政府食品薬品監督管理部門の審査、承認を得なければならないこと、⑦保健食の届出などが規定されている。
また、特殊医学用途調整食品について、同食品は国務院の食品薬品監督管理部門によって登録されなければならないことなどが、乳幼児用調整食品については、①同食品の生産企業は、原材料の入荷から完成品の出荷の全工程において品質管理システムを実施し、出荷する乳幼児用配合食品についてロットごとに検査を実施し、食品の安全を保証しなければならないこと、②乳幼児用配合食品の生産に使用する生乳、補助原材料等の食品原材料、食品添加物等については法律、行政法規の規定および食品安全国家基準に合致し、乳幼児の成長発育に必要な栄養成分を保証しなければならないこと、③食品原材料、食品添加物、製品の配合成分と配合量およびラベル等の事項について省、自治区、直轄市の人民政府の食品薬品監督管理部門に届け出なければならないこと、④乳幼児用配合粉ミルクの製品の配合成分と配合量は、国務院の食品薬品監督管理部門によって登録されなければならないこと、⑤個別包装方法で乳幼児用調整粉ミルクを生産してはならず、同一企業は、同一配合成分で異なるブランドの乳幼児用調整粉ミルクを生産してはならないことなどが規定されている。
(2)「第6章 食品の輸出入」に関する改正
ア 輸入について
まず、①輸入食品等が食品安全国家基準などの合致することを確保するための条項、具体的には、i国外の輸出業者、生産企業が中国に向けて食品、食品添加物、食品関連製品を輸出する場合、本法、中国のその他の関連法律、行政法規の規定および食品安全国家基準の要求に合致することを保証しなければならず、かつラベル、説明書の内容について、責任を負わなければならないこと、ii輸入業者は国外の輸出業者、生産企業の審査制度(iに定める内容を重点的に審査する)を確立しなければならず、審査に不合格の場合には輸入をしてはならないこと、iii輸入業者は、輸入食品が中国の食品安全国家基準に合致しないまたは人体の健康に害を及ぼす可能性があることを証明する証拠があることを発見した場合、即時に輸入を停止し、本法第63条の規定に基づくリコールを行わなければならないことが新たに規定された(本法第94条)。また、②従前より、中国に向けて食品を輸出する国外食品生産企業は国家出入国検査検疫部門において登録を受けなければならないことが規定されているところ、これに加えて、登録済みの国外食品生産企業が虚偽の資料を提供し、または自らの原因で輸入食品に重大な食品安全事故をもたらした場合、国家出入国検査検疫部門は登録を取り消し、かつ公告しなければならないことなどが規定された(本法第96条)。
イ 輸出について
輸出食品の生産企業は、その輸出食品が輸入先の国(地域)の基準または契約書の要求事
項に合致するよう保証しなければならないこと(本法第99条第1項)が新たに規定された。
(3)「第9章 法の責任」に関する改正
法の責任は全面的に加重されており、既存条文のおいて罰則が引き上げられるなどされたほか、新たに多くの条文が追加され、条文数が15条文から28条文に増えている。 ア 行政罰について
例えば、①食品原材料ではないものを用いて食品を生産し、食品中に食品添加物以外の化学物質および人体の健康に危害を及ぼす可能性のあるその他の物質を添加し、もしくは回収した食品を原材料として食品を生産し、またはこれらの食品を取り扱った場合等の列挙事項のいずれかに該当するものの、犯罪を構成しないときの過料金額について、それらの価値が1万元未満のときは10万元以上15万元以下(従前は2000元以上10万元以下)に、それらの価格が1万元以上のときはそれらの価格の15倍以上30倍以下(従前は10倍以上30倍以下)に引き上げた。また、情状が重大である場合、公安機関がそれについて直接責任を負う主管人員およびその他の直接責任者を5日以上15日以下の拘留に処すことができる旨を新たに規定した。さらに、②前述の①で掲げた違法行為に従事していることを明らかに知りながら、行為者に生産・取扱場所またはその他の条件を提供した者について、行為者と連帯責任を負うことが新たに規定される(本法第123条)などしている、③重大違法行為者の将来の活動制限についても強化されており、具体的には、許可証を取り消された食品生産・取扱者およびその法定代表者、直接責任を負う主管者とそのた直接責任者(従前は許可証を取り消された団体で直接責任を負っていた主管者のみが対象とされていた)は、処罰決定の日から5年間、食品生産・取扱の許可を申請することができず、または食品生産・取扱の管理業務に従事し、企業の食品安全管理者を担当することができない(従前は食品生産・取扱の管理業務に従事してはならない旨のみが規定されていた)との内容に改正された。それとともに、食品安全犯罪により有期懲役以上の刑罰の判決を受けた場合、終身、食品生産・取扱の管理業務に従事することができず、企業の食品安全管理者を担当することもできないことが新たに規定された(本法第135条)。他方で、④食品取扱者が本法に規定する入荷検査等の義務を履行しており、購入した食品が食品安全基準に合致していないことを自ら知らなかったことを充分に証明する証拠があり、かつ事実のとおりにその仕入先を説明することができる場合、処罰が科されるのを免れることができるとされた(本法第136条)。
イ 民事賠償について
損害を受けた消費者に対する保護を教科するため、消費者が食品安全基準に合致しない食品によって損害を被った場合、取扱者および生産者のいずれに対しても損害の賠償を請求することができ、消費者から賠償請求を受けた生産・取扱者は、率先して支払いを行う制度を実行し、先に賠償しなければならず、責任を転嫁してはならない旨が新たに規定された。なお、生産者に責任がある場合、取扱者は賠償後に生産者に対して求償する権利を有し、取扱者に責任がある場合、生産者は賠償後に取扱者に対して求償する権利を有するとされている(本法第148条第1項)。また、従前より、いわゆる懲罰的賠償として、食品安全基準に合致しない食品を生産しまたは食品安全基準に合致しないことを明らかに知っている食品を取り扱った場合、消費者が損害の賠償請求のほか、商品価格の10倍の賠償金の支払いを請求できることが規定されていたが、これに加えて、商品価格の10倍または損失の3倍のいずれかの支払いを請求できること、賠償金を増額した分の金額が1000元に満たない場合は1000元を賠償金とすることが規定された。もっとも、本法では、懲罰的賠償の免責事項についても規定しており、食品ラベル、説明書において、食品安全に
は影響せず、かつ消費者を誤認させることのない瑕疵が存在する場合には、懲罰的賠償責任を負わない旨が規定されている(本法第148条第2項)。
4日系企業が留意すべき点
2015年3月の第12期全人代の会議上で行われた李克強総理の政府活動報告において、「食品の安全」は、国人が不満を抱いているものの1つに挙げられている。このため、「史上最も厳しし」と言われている本法は、その実施においても、厳しく運用されることが予想される。中国で食品の生産・取扱に従事するまたは中国へ食品を輸出する日系企業において、本法が施行される同年10月1日までに、自社の食品生産・取扱ないしは輸出体制が本法に適合するかを確認し、本法の施行に備える必要がある。
以下では、上記3の主要な改正内容のうち、それぞれの日系企業が留意すべき事項を整理する。
【中国で食品の生産に従事する日系企業が留意すべき点】
・許可取得部門が国務院食品薬品監督管理部門となる。
・①食品の安全管理制度、②従業員の健康管理制度に加えて、③トレーサビリティシステム、④自主検査制度の確立が義務つけられる。
・生産する食品が食品安全基準に合致することを保証するため、各事項を管理する上での要求を制定、実施する必要がある。
・ラベル、表示または説明書が食品安全基準に合致しないことに起因してリコールした食品は、改善措置を講じかつ食品の安全性を保証できることは前提に販売を継続できる。 ・リコールした食品について無害化処理、廃棄を行う必要がある場合、その時間、場所を事前に食品薬品監督管理部門に報告する。
・遺伝子組み換え食品を生産する場合、規定に従い明確に表示する。
・特殊食品(保健食品、特殊医学用途調整食品および乳幼児用調整食品等)に関する新規定を遵守する。
・違法行為者に対する処罰の加重(過料金額の引き上げ、責任者の拘留の追加、重大違法行為者の将来の活動制限強化)。
・食品安全基準に合致しない食品によって損害を被ったことを理由として消費者より賠償請求を受けた場合、取扱者に責任があるときでも先に賠償を行う(後に取扱者に求償を行うことが可能)。
・懲罰的賠償において、「損失の3倍」の支払い請求が可能となり、賠償金を増額した分の金額が1000元に満たない場合は1000元を賠償金とすることが可能となった。
・食品ラベル、説明書において、食品安全には影響せず、かつ消費者を誤認させることのない瑕疵が存在する場合、懲罰的賠償責任を負う必要がない。
【中国で食品の取扱に従事する日系企業が留意すべき点】
・許可取得部門が国務院食品薬品監督管理部門となる。
・①食品の安全管理制度、②従業員の健康管理制度に加えて、③トレーサビリティシステム、④自主検査制度の確立が義務つけられる。
・飲食サービス提供者は次の各事項を遵守する。①原材料を管理する上での要求を制定、実施し、食品安全基準に合致しない食品原材料を購入しない、②加工の過程において加工予定の食品および原材料を検査し、腐敗による変質等の本法第34条第6号に該当する状況が発生しているものについて加工または使用しない、③食品加工、貯蔵、陳列等の施設・設備のメンテナンス並びに保温設備および冷蔵・冷凍施設の洗浄、点検を定期的に行う、④要求に基づき食器、飲用食器の洗浄消毒を行い、洗浄消毒を行っていない食器、飲用食器は使用せず、また食器、飲用食器の洗浄消毒を委託する場合には、本法が規定する条件
を満たす食器、飲用食器の集中消毒サービス事業者に委託する。
・遺伝子組み換え食品の取り扱う場合、規定に従い明確に表示する。
・特殊食品(保健食品、特殊医学用途調整食品および乳幼児用調整食品等)に関する新規定を遵守する。
・違法行為者に対する処罰が加重された(過料金額の引き上げ、責任者の拘留の追加、重大違法行為者の将来の活動制限強化)。
・本法に規定する入荷検査等の義務を履行しており、購入した食品が食品安全基準に合致していることを自らが知らなかったことを充分に証明する証拠があり、かつ事実の通りにその仕入先を説明することができる場合、処罰が科されるのを免れることができる。 ・食品安全基準に合致しない食品によって損害を被ったことを理由として消費者より賠償請求を受けた場合、生産者に責任がある時でも、先に賠償を行う(後生産者に求償を行うことが可能)。
・懲罰的賠償において、「損失の3倍」の支払い請求が可能となり、賠償金を増額した分の金額が1000元に満たない場合は1000元を賠償金とすることが可能となった。
・食品ラベル、説明書において、食品安全には影響せず、かつ消費者を誤認させることのない瑕疵が存在する場合、懲罰的賠償責任を負う必要がない。
【中国へ食品を輸出する日系企業が留意すべき点】
・輸出する保健食品については、日本の主管部門が市場では販売商品として許可したものでなければならない。
・国外の輸出業者、生産企業が中国に向けて食品、食品添加物、食品関連製品を輸出する場合、本法、中国のその他の関連法律、行政法規の規定および食品安全国家基準の要求に合致することを保証しなければならず、かつラベル、説明書の内容について責任を負わなければならない。
・登録済みの国外食品生産企業が虚偽の資料を提供し、または自らの原因で輸入食品に重大な食品安全事故をもたらした場合、国家出入国検査検疫部門によって登録が取り消され、かつ公告がなされる。